健康診断や消化器官の検査で行われるバリウム検査。検査後によくあるトラブルといえば、トイレにバリウムが付着してしまうケースではないでしょうか。「バリウムの塊がトイレに残って流れない」「トイレの水が白く濁る」「バリウムの影響でトイレがつまってしまった」など、多くの方が経験しているトラブルです。

この記事では、バリウム検査後にトイレでトラブルが発生した場合の対処法や予防策について、水道のプロが詳しく解説します。バリウムが自然に流れるのを待っても大丈夫なのか、自分でできる解決方法はあるのかなど、気になる疑問にお答えします。

バリウムとは？検査後のトイレトラブルが起こる理由

バリウム検査後のトイレトラブルは珍しいことではありません。なぜバリウムが便器に付着してしまうのか、その原因と特性について解説します。バリウムの性質を理解して、効果的な対処法や予防策に取り組みましょう。

バリウムの特性と便器付着の原因

バリウムは硫酸バリウム（りゅうさんバリウム、BaSO4）という化学物質で、X線検査で消化器官を可視化するための造影剤として使用されます。自然界では重晶石という鉱物として存在し、X線を透過しにくい性質を持っています。

バリウムを飲むメリットは、X線撮影時に胃や腸などの消化器官の形や状態を確認できることですが、人体に吸収されることがないため、そのままの形で排出されます。

排出されたバリウム便は通常の便と異なり、白色や灰色をしており、粘性が高いのが特徴です。この粘性の高さが、トイレトラブルの原因を引き起こします。

バリウムが流れにくい主な理由

バリウム便がトイレで流れにくくなる理由はいくつかあります。

まず、バリウムは水の約3.5倍の比重があり、非常に重いため、トイレの水に入ると素早く沈殿してしまいます。

また、バリウムは水に溶けない性質があり、一般的な汚れと違って単に水を流すだけでは溶けたり流れたりしません。

さらに、バリウムは冷えると急速に固まる性質があります。トイレの冷たい水に触れると、粘土のように固まってしまい、便器への付着力が一層強くなるのです。

粘着性も高いため、一度便器に付着すると通常の水の流れだけでは取れにくく、繰り返し水を流しても除去できないことが多いです。

節水型トイレとの相性

最近の住宅に多く設置されている節水型トイレは、バリウム便との相性がいいとは言えません。

節水型トイレは、その名の通り、少ない水量で効率的に排水できるように設計されています。通常の便であれば問題なく流れますが、重く粘着性の高いバリウム便を効果的に流すには水量が不足しがちです。

水の勢いが弱いため、沈殿したバリウムを押し流す力が足りず、結果として便器内に残ってしまいます。また、渦を巻くように水が流れる設計のトイレでは、渦の中心部分にバリウムが集まりやすく、さらに流れにくくなりやすいです。

節水型トイレでバリウム便を流す場合は特に注意を払い、後述する予防策や対処法を積極的に活用しましょう。

バリウムは放置していたらそのうち流れる？

「バリウムが付着しているけど、そのうち自然に流れるのではないか」と考える方も多いでしょう。実際にバリウムを放置した場合どうなるのか、どのくらいの期間で流れるのか、放置するリスクはあるのかなどについて解説します。

バリウム放置で自然に流れるまでの期間

結論から言うと、バリウムは少量であれば自然に流れることもあります。トイレの使用頻度やバリウムの付着量によって異なりますが、一般的には1〜2週間程度で徐々に水に流され、最終的には全て流れていくケースが多いです。

トイレを使用するたびに少しずつバリウムが剥がれていき、時間とともに目立たなくなっていきます。しかし、これはあくまで少量の付着の場合であり、塊のようになっている場合や大量に便器に付着している場合は、自然に流れきるのを待つのは現実的ではありません。

放置するリスク

バリウムを放置することにはいくつかのリスクがあります。

最も大きなリスクは、付着したバリウムがさらに固まってしまい、他のトイレットペーパーや排泄物が引っかかりやすくなることです。その結果、トイレのつまりが発生しやすくなってしまいます。

また、バリウムの白い付着物は見た目も良くなく、特に来客がある場合は衛生面での印象も悪いですね。

さらに長期間放置することで、バリウムが便器の表面に強固に付着してしまうと、後から除去しようとしてもできなくなるかもしれません。

放置しても良い場合

状況によってはバリウムを放置しても問題ない場合があります。

バリウムの付着がごく少量で、トイレの通水機能に影響がない場合は、無理に除去する必要はありません。日常的にトイレを使用していれば、自然と流れていくでしょう。

また、バリウムが便器の見えにくい部分に付着していて、見た目に問題がなく、つまりなどのトラブルも起きていない場合も、自然に流れるのを待っても構いません。

ただし、付着量が多い場合や便器の重要な部分（排水口など）に付着している場合は、早めに対処することをお勧めします。判断に迷った場合は、次に紹介する対処法を試してみてください。

バリウムが便器に付着した時の自分でできる対処法

バリウムが便器に付着してしまった場合、いくつかの方法で自分でも対処できます。自宅にある道具を使った簡単な方法から、少し手間のかかる方法まで、状況に応じて効果的な対処法を選びましょう。

ぬるま湯を利用する

もっとも簡単でおすすめの方法は、ぬるま湯を利用する方法です。

40〜50度程度のぬるま湯をバケツややかんに準備します。熱すぎるお湯は便器を傷める可能性があるため注意しましょう。

準備したぬるま湯を便器内のバリウムが付着している部分に直接かけます。バリウムに十分にぬるま湯をかけて5〜10分ほど放置すると、バリウムが徐々に溶け始めます。

トイレの水が白く濁ってきたら、バリウムが溶け始めている証拠です。このタイミングでトイレのレバーを引いて水を流しましょう。必要に応じてこの作業を数回繰り返します。

ぬるま湯の効果でバリウムの粘度が下がり、固着していたバリウムが剥がれやすくなります。特に付着したばかりのバリウムに効果的な方法です。

トイレブラシと割り箸で除去する

次におすすめなのは、トイレブラシと割り箸を使う方法です。

トイレブラシはバリウムをこすり落とすのに適していますが、こすりすぎると便器に傷がつく恐れがあるため力加減には注意しましょう。特に細かい部分のバリウムを除去するのに適しています。

割り箸は便器に付着した大きなバリウムの塊を剥がすのに効果的です。割り箸の先端でバリウムの塊の端をそっと持ち上げるようにして、少しずつ剥がしていきます。

作業中は時々水を流して、剥がれたバリウムが排水口につまらないようにしてください。割り箸で便器を直接こすらないようにして、あくまでバリウムだけを剥がすように心がけましょう。

この方法は、ぬるま湯で少し柔らかくなったバリウムに対して特に効果的です。

ゴム手袋を使って直接除去する

トイレブラシや割り箸では届きにくい場所にあるバリウムや、大きな塊のバリウムは、ゴム手袋を使って直接手で除去する方法もおすすめです。

まず、しっかりとしたゴム手袋を装着します。便器内には大腸菌などの雑菌が含まれているため、素手で行うのは衛生面上避けましょう。

ゴム手袋をはめた手で便器奥の付着したバリウムをつかみ、優しく剥がしていきます。取り除いたバリウムは一般ごみとして処分してください。

この方法はバリウムの塊が大きい場合に特に効果的です。ただし手が届く範囲に限られるため、便器の奥深くに付着したバリウムには不向きです。

作業後は使用したゴム手袋を適切に処分し、手をしっかり洗いましょう。

酸性洗剤を使って溶かす

バリウムが頑固に付着している場合は、市販の酸性洗剤（サンポールなど）を使用する方法を試してみましょう。

酸性洗剤はバリウムを化学的に溶かす作用があり、トイレブラシなどでは落ちない頑固な付着物にも効果を発揮します。

洗剤の説明書をよく読み、指定された量を付着部分にかけます。その後、説明書に記載された時間（通常10〜30分程度）放置し、バリウムが溶けるのを待った後、トイレブラシで軽くこすり、水を流して完全に洗い流します。

酸性洗剤使用時の注意点として、必ず換気をした状態で使用すること、絶対に塩素系洗剤と混ぜないことが重要です。混ぜると有毒なガスが発生し、大変危険です。また、皮膚や目に付着しないよう、ゴム手袋やマスクを着用するなど安全対策を十分に行いましょう。

東京都内のおすすめホームセンター

バリウム対策に必要な道具やグッズは、ホームセンターで手に入れることができます。東京都内には多くのホームセンターがありますが、特におすすめの店舗をいくつかご紹介します。

カインズ 南砂町SUNAMO店

住所：東京都江東区新砂3丁目4番31号

営業時間： 10:00〜21:00

南砂町駅から徒歩約6分の好立地にあり、バリウム対策に必要なトイレ用品から洗剤まで幅広く取り揃えています。広い店内でゆっくり商品を選べます。

スーパービバホーム 豊洲店

住所：東京都江東区豊洲3-4-8

営業時間：6:30〜21:00

豊洲駅から徒歩約4分という便利な場所にあり、早朝から営業しているため出勤前に立ち寄ることも可能です。バリウム対策に必要なトイレ用品や洗剤の品揃えが豊富です。

コーナン江東深川店

住所：東京都江東区深川一丁目6番2号

営業時間：9:00〜21:00

門前仲町駅から徒歩約6分の場所にあり、都心でも充実した品揃えが魅力です。トイレ関連用品のコーナーが充実しており、専門スタッフのアドバイスも受けられます。

ロイヤルホームセンター 南千住

住所：東京都荒川区南千住4丁目1-4

営業時間：資材・DIYコーナー　6:30〜21:00

南千住駅から徒歩約4分という便利なアクセスで、3階建ての広々とした店内にはバリウム対策に必要な用品が豊富に揃っています。早朝から営業しているのも魅力です。

島忠 ホームズ葛西店

住所：東京都江戸川区東葛西9-3-6

営業時間：資材館　7:00〜21:00

葛西駅からは徒歩約21分とやや距離がありますが、品揃えの豊富さでは随一です。トイレ用品のみならず、多種多様な生活用品が一度に揃う大型店舗です。

自分で対処できない場合は専門業者へ

自分で試してみたけれどもバリウムが除去できない場合や、トイレがつまってしまった場合は、専門業者への依頼を検討しましょう。専門家の技術と道具を使えば、確実に問題を解決できます。

プロに依頼すべき状況

次のような状況では、迅速な解決のためにも自分での対処はあきらめてプロの水道業者に依頼してください。

• トイレが完全につまり水が流れなくなった場合：バリウムによって排水管がつまり、水が逆流するような状況は早急に専門家の対応が必要です。
• 複数の対処法を試しても改善しない場合：特に便器の見えない部分や排水管内部に付着したバリウムは、素人では除去が難しいことがあります。
• 古い住宅や配管に問題がある場合：経年劣化した配管では、無理な対処によって新たな問題を引き起こす可能性が高いです。
• 急いでトラブルを解決したい場合：バリウム除去は時間がかかることが多いため、時間的余裕がない場合はプロに任せましょう。
• バリウムの塊が大きく、排水管に入り込んでいる疑いがある場合：目に見えない部分でトラブルが発生している可能性があり、専門的な機材が必要です。

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