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飲用水には使えない?中水道の主な特徴と水源【水道職人:公式】

飲用水には使えない?中水道の主な特徴と水源【水道職人:公式】

水道インフラの一つである、「中水道」をご存じでしょうか?
 
中水道とは、生活排水や雨水、産業排水を、浄化処理して再利用することです。
中水道の水は飲用水には利用できませんが、トイレや樹木への散水、清掃用水などで活用できます。
 
ショッピングセンターなどのトイレで、「再利用水」といった水を再利用している旨の案内を見たことがある方も、多くいらっしゃると思います。
この再利用水が、中水道から配水された、中水と呼ばれる水です。
 
中水道は、限りある水資源を大切に使えるということで、SDGsの観点からも注目を集めています。
 
今回は、中水道はどのようなものかについてご紹介します。
 

中水道の主な特徴


中水道には、限りある水資源を大切にするために節水ができるという、大きな特徴があります。
 

水資源の節約

飲用水に利用できるきれいな水資源は、無限ではなく有限です。
日本では、水道から出るきれいな水道水が当たり前の日常になっています。
しかし、この大切な水資源は、地球温暖化や人口の増加で2050年には当たり前ではなくなるかもしれません。
 
WMO(世界気象機関)の発表では、2050年までに世界の約50億人(2人に1人の割合)が、水不足に陥ると試算しています。
もちろん、日本とて例外ではありません。
 
限りある水資源を大切にするために、中水道を利用することで、水資源の節約に繋がります。
 
参考:なぜ?世界で深刻化する水不足┃NHK
 

環境負荷の軽減

私たちの生活から排出された排水は、下水道処理場できれいな水になるよう処理を施されてから、川や海に戻されます。
そして、この作業は環境に負荷をかけています。
 
環境の負荷があるのは、排水の処理だけではありません。
川や海の水を、私たちが使える水道水にするためにも、さまざまな処理が行われ、環境に負荷をかけているのです。
 
中水道のシステムは、ショッピングセンターなどの、中水を利用している各施設の中に設備があります。
そのため、環境にかかる負荷を軽減できるのです。
 
たとえば、玉川高島屋S・C(東京都世田谷区)では、南館の飲食店から排出された排水を建物の中で再生処理し、トイレの洗浄水として再利用しています。
これにより、下水道に流す水量が軽減しているのです。
また、同施設では、節水器具などを活用した節水も行っています。
 
参考:厨房排水の再利用┃玉川高島屋S・C
 

用途が限定される

中水道から配水された中水は、飲用には適しません。
人体に影響を及ぼさない範囲で利用することが、中水道の原則です。
 
「この水は飲用には適しません」や、「再利用水」と注意書きのある水は、飲用しないように注意してください。
ただし、将来的には、中水道が飲用水として利用される日がくるかもしれません。
 
ナミビアのヴィントフック市やアメリカ合衆国のテキサス州では、下水処理水の間接及び直接飲用再利用の実験が行われています。
水資源は有限です。
そして、人体に影響する範囲で利用する水の量は膨大です。
再生水を飲用水でも利用できる水にするということは、未来の水不足に備え、とても重要な課題になっていくでしょう。
 
参考:下水処理水の飲用再利用におけるリスクの取り扱いについて┃J-Stage
 

中水道の水源


中水道の水源には、生活排水や工場・ビルの排水などの各種排水、雨水を利用します。
 

排水

排水を中水道で活用するには、処理施設で処理する必要があります。
そして、処理施設には大きく分けて3つのシステムがあるでしょう。
 

  • 個別循環型中水利用システム:建物ごとに排水処理施設を整備し、建物の中で循環利用する
  • 地区循環型中水利用システム:地区内の複数の建物で利用できる排水処理施設を整備し、複数の建物で循環利用する
  • 広域循環型中水利用システム:下水処理施設が、中水を提供する

 
中水は、洗面やキッチンから排出された排水を、上記の専用処理槽などで処理を施し、中水道を通って配水されます。
 

雨水

雨水は、降水利用中水道システムを利用します。
降水利用中水道システムは建物の屋上や屋根などの雨水を貯留し、トイレの洗浄水や樹木散水などに利用できるシステムです。
 
雨水の利用には、水資源を確保する役割や、上水道と同様の質の水としても使えるという期待が持たれています。
また、ヒートアイランド現象への効果も見込めるでしょう。
 
雨水には中水道での利用だけではなく、その他の用途もあるのです。
 

中水道は水資源の保護に役立つ


中水道を利用して中水を活用することで、水資源の保護につながります。
 
東京には多くの方が住んでおり、都市活動には多くの水を必要とします。
しかし、飲用水以外の水は、必ずしも上水道の水が必要という訳ではありません。
トイレの洗浄水や樹木散水、清掃用水には、上水道ではなく、中水道の水が利用できます。
東京で多く消費される上水道の一部を中水道に変えるだけでも、節水に貢献できるのです。
 
東京都では、中水道の水を利用するための水再生センターが、芝浦や有明、落合にあります。
この施設で「再生水利用事業実施要綱」に則り高度な処理が施され、中水道を通って西新宿などに配水されています。
 
私たちが生活する東京都は、水資源の節水のために動き始めているのです。
 
参考:再生水とは┃東京都下水道局

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